競馬から日常へ広がるtrifecta(トリフェクタ)の意味
トランプ氏が下馬評を覆して制した2024年米大統領のときに少し話題になった「trifecta(トリフェクタ、トライフェクタ)」という単語について掘り下げてみたい。
「trifecta」はもともと競馬用語として誕生した。競馬で「1着、2着、3着の順番を正確に予想する」といういわゆる「3連単」の意味だが、現代ではその意味が広がり、競馬以外でも「三つの重要な要素がそろった完璧な組み合わせ」や「大成功を収めるための三つの条件」というニュアンスで使われることが多い。トランプ氏勝利を伝えた米紙報道では、大統領に加え、上院、下院の多数派、つまり3者を完璧に共和党が独占することをもってtrifectaという見出しが躍った。いわゆるa governing trifecta(統治トリフェクタ)という状態である。
語源は「tri-(3つの)」+「fecta」で構成されている。「fecta」は「perfecta」(スペイン語由来で「完璧な」の意)の短縮形で、「完璧な三つの組み合わせ」という概念を示している。この単語は特にアメリカ英語で親しまれており、スポーツや政治、ビジネスなど幅広い分野で使用される。
たとえば、ある企業が「技術革新、顧客満足、環境配慮」の三つを完璧に実現した場合、「The company achieved a trifecta of innovation, customer satisfaction, and sustainability.(その企業は技術革新、顧客満足、環境配慮の三拍子を達成した)」と表現できる。この文脈からもわかるように、「trifecta」は英語のネイティブスピーカーにとって、完成形や理想形を指すポジティブなイメージが強い。日本語で「三拍子揃った」と言いたいときはこのtrifectaを使えると便利だ。
3が関係する類似表現として「hat trick」が挙げられるが、こちらは主にスポーツ(特にサッカーやクリケット)で「1試合に3得点する」ことを指し、広義の成功にはあまり使われない。また「triple crown(三冠)」も似ているが、これは「三つの異なるカテゴリーで成功する」というニュアンスが強く、「trifecta」のような完璧性は重視されない。
このように、「trifecta」は「順序やバランスが取れた三つの成功」という意味合いを持ち、達成感や理想を描写する際に非常に適した単語である。trifacta(トリファクタ)とスペルを間違えて覚えやすいが、あくまで「完璧性」にこだわる単語だということを押さえておけば、tri(3つ)+perfect(完璧)のfectであることはもう忘れないだろう。
米共和党によるtrifecta統治が2025年1月、いよいよ出走。さあどうなるか注目だが、英語学習者である我々はとりあえずこれを機にtrifectaという言葉をどん欲に覚えてしまおう。