【語源100話(34)】危険な積み荷にあふれたfraught
東京五輪の開幕に合わせて、BloombergがTokyo’s Fraught Olympics Are Set to Begin After Decade of Dramaという記事を書いていた。海外からの視点で淡々とこれまでの経緯をまとめていて、分かりやすい。
タイトルは、「10年のドラマを経て、東京の不安なオリンピックが始まる」という感じ。fraught(フロート)という単語は馴染みが薄いかもしれないが、ニュースの頻出単語。「(危険などに)満ち溢れた、(危険などを)はらんだ、不安な」という意味。もともと「積み荷」「積載貨物」「荷物を積む」というfreight(フレイト)という単語があって、それに由来する。
脱線するが、「積み荷」によく似た意味ではcargo(カーゴゥ)がある。fraughtとcargoの違いは、北米物流大手デリンジャー社のサイト(https://blog.anderinger.com/blog/what-is-the-difference-between-cargo-and-freight)によると、基本的には全ての荷物がcargoであり、そのうち列車やトラックで陸送されるものをfreightと呼ぶ人が多い。飛行機や船で運ぶものはcargoと呼ぶ人が多い。郵便については全てがcargoとなる。ただ、運賃や商品を意識した場合にはfreightとなるようだ。
閑話休題。つまり最初のfraught(危険などをはらんで)という単語は、たくさん荷物を積み込んだ列車なりトラックなりを想像すれば覚えやすい。危険をたくさん積んでいるとイメージしてもいいし、たくさん積み過ぎて今にも荷崩れを起こしそうな場面をイメージしてもいい。Tokyo’s Fraught Olympicsには、そうしたさまざまな問題が山積みされ、今にも崩れそうな東京五輪の不安感が表現されているのである。
記事中も、面接や試験に使えそうな表現がたくさんある。例えば、組織委の武藤敏郎事務総長のセリフ。
“To be honest, I did not expect the Olympics to be happening like this. I thought the coronavirus would be gone or settled by the time the Olympics started,”
「正直言って、オリンピックがこうなるとは思っていなかった。オリンピックが始まるまでにはコロナウイルスは終息しているか解決していると思っていた。」
組織委がこの認識では批判されても仕方ないかもしれないが、個人レベルでは誰にでもこうした体験はたくさんあるはず。オリンピックの部分を何か他のことに変えてもいいし、オリンピックの話題になったときに、このセリフをそのまま使ってもよさそうだ。