【英語表現】ハリケーン階級の問題点

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The problem with storm categories, TIME Vo.192, No.13, 2018より。

9月中旬に米国東部を襲ったハリケーン「フローレンス」(Hurricane Florence)の記事の小欄で、「ハリケーンカテゴリーの問題点」という記事が目に留まった。ハリケーンのカテゴリー(Category)は1分間の最大風速に基づき、5段階で表現される。「Category 1」は1分間の最大風速が33-42m/s(およそ時速100km強)、最強の「Category 5」は70m/s以上(およそ時速250km以上)となる。ちなみに、日本の場合は10分間の最大風速に基づいて「形容なし」「強い」「非常に強い」「猛烈な」の4段階に分けられる。「猛烈な」の場合、ほぼCategory 5(もしくはCategory 4)に匹敵する。

このカテゴリーシステムがノースカロライナの住民の油断を生んだようだ。一時カテゴリー4だったフローレンス(Hurricane Florence, once a Category 4 storm)だが、カテゴリー1に引き下げられた後で土砂崩れが起きた(was downgraded to Category 1 before making landfall)。専門家は、フローレンスが典型例(an excellent example of a storm)だと説明する。つまり、実際の勢力より低いカテゴリーに評価され(that is a lower category than it was)、カテゴリーの低さに反してまだ極めて危険な(and yet is still extremely dangerous)ハリケーンの典型例だという。

フローレンスはとりわけ(especially)、カテゴリー分けの根拠となる「サファ・シンプソンのウインドスケール」( the system known as the Saffir-Simpson Hurricane Wind Scale)の不備に脚光を当てた(highlighted one key shortfall) 。ハリケーンの移動速度そのもの(the speed at which the storm itself is moving)を考慮していない(it doesn’t take into account)というのだ。つまり、移動速度が遅い台風はそれだけ雨の被害をもたらし、災害リスクを高めることになるが、風速だけに着目したカテゴリー分けではその危険性が伝わらないという指摘だ。

フレーズメモ。

biblical amounts of rain 聖書のような量の雨、おそらくノアの箱舟の逸話のような大雨という意味だろうか。なかなか洒落た表現で、さすがTIME誌という感じ。

But it also falls to meteorologists and politicians to pound home the idea that a storm can be dangerous at any point on the scale. ちょっと長いが、(fall to someone)で「人に責任を負わす」、(pound things home)で「thingsをしっかり打ち付ける」=「thingsを叩き込む、しっかり根付かせる」、(the idea)はthat以下を受けて「という考え」にすればいいので、「しかし『ハリケーンはどんなスケールだろうと危険である』という考えを人々にしっかりと根付かせる責任を気象学者や政治家に負わせることにもなるのである」ぐらいの意味になる。ちなみに、pound things homeには個人的に、家に釘で板をしっかり打ち付けるというイメージがある(本当の語源はわからないが)。昔はよく嵐の前に窓やドアに板を打ち付けて暴風に備えていたけど、そのイメージと重ねたフレーズだとすれば、これまた洒落た言い回しだ。

“My message is clear. Disaster is at the doorstep and is coming in.” 記事を締めくくる専門家のセリフ。これが真実ですね。このフレーズはdisasterの部分をearthquakeとかthird world warとかeconomic crisisとかに入れ替えると、何となくかっこよく応用できる感じがする。

Alejandro de la Garza氏の記事。

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