【語源100話(82)】スーッと動く「scoot(スクート)」
「scoot」は数年前の英検1級に出題された。scoot over (ちょっと詰める、ずれる)という意味の文章の穴埋めで登場した。覚えている方もいるかもしれない。映画館や公共交通機関で席をずれてほしいときに、Could you scoot over?と使える。英検に出題されるくらいだから、フォーマルな言葉として安心して使えるだろう。erを付ければscooter(スクーター)になるから、なじみが深い。覚えておいて損はない言葉だ。shootと似ていると思い、語源を調べてみたことがある。
Online Etymology Dictionaryによれば、scootの語源は「走る、飛ぶ、突然動く、素早く動く」という意味。北欧の船乗りのスラングに起源があり、「shoot」(撃つ、発射する)にもつながるようだ。「力を持って流れ出る、噴出する」という意味合いもあった。splash(水がはじける)、spring(弾む)などsp-系の接頭辞とも共通点がある。
こうした共通点は、人類が言葉を獲得していった過程を見ているようで面白い。水がはじけたり、種がはじけたり、鳥が素早く横切ったりするのを大昔の人類が見て、舌を使って物まねをしたのであろうことがまざまざと想像できるからだ。スクッとかスプッとかシュッとかシューッみたいな感じで意思疎通していたのだろう。言語がまだ人類の鳴き声に毛が生えた程度の赤ちゃんだった時代である。こういうところから想像(妄想)して学んでいくのが、私にとって英語学習の魅力とロマンの一つです。
shootはスポーツや射撃でよく使われるが、植物の成長に関連しても使われる。「動きや成長が速い」という意味から派生し、新芽や威勢よく根本から伸びてくるひこばえのこともshootという。
AIが作成したScootの語源イメージはこんな感じでした笑