Quarantine(隔離、検疫)の語源

Pocket

新型コロナウイルス(novel coronavirus, new conoravirus)のニュースが世間を騒がす中、quarantine(隔離、検疫)という単語に人々の興味が集まっているようだ。発音は「クウォレンティン」。アクセントは「ウォ」の位置。Online Etymology Dictionaryの検索ランキングでも1位に急浮上。quarantineって何者だ?と世界的な関心を呼んでいることがうかがえる。

横浜港に入港した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で2週間、乗客が隔離されるというニュースでも、背中にquarantineと書いた役人が忙しげに働いている姿が見られた。

Online Etymology Dictionaryによれば、quarantineの意味は、”period a ship suspected of carrying disease is kept in isolation”。病気を感染させる疑いのある船(a ship suspected of carrying disease)を、世間から隔離しておく(is kept in isolation)、期間(period)とある。

語源は、”space of forty days”(40日間)。大航海時代前の14世紀ごろ、港町ベニス(ベネチア)は活況を呈していたが、東方から伝染病(ペスト)を持ち込まれる恐れもあった。そこで、伝染病患者が出た船はベニスの港で40日間、隔離しておく法律が作られた。quarantine(40日間の隔離)という単語はこうして生まれた。ちなみに、イタリア語で4はquattro、英語でも4分の一をquarter、四角形をsquare、四重・4倍をquadrupleという。

さらにquarantineの語源を調べていると、lazarettoという言葉が出てくる。意味は”house for reception of lepers and diseased poor persons”。当時の”らい病”患者(lepers)や病気の貧しい人を受け入れる家(受け入れ施設)という意味だ。lazarettoは、新約聖書ルカによる福音書に登場する人物、Lazarus(ラザロ)に由来する。また、いわゆるかつての”らい病”はleprosyだが、今のハンセン病(Hansen’s disease)とは違う可能性があるとされている点に留意したい。

感染病対策に由来する単語から、時代ごとに病気の種類は違うものの、いつの時代も人類にとって感染が大きな脅威であったことが分かる。新型コロナウイルス騒動は、まさにその一つが目の前で起きているということか。

意外と見過ごされがちだが、disease(病気)の由来は、dis + ease 、つまり安楽(ease)がdisられた(害された)状態のことだというのが、語源としては非常に分かりやすく、面白い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です