【語源100話(60)】「けしからん!」はmonstrous
monstrous(マンスチュラス)は「極悪非道の」「全く酷い」「けしからぬ」という意味。いうまでもなく、monster(モンスター、怪物)の仲間である。覚えやすく、使いやすいコスパの高い単語だ。
モンスターとも共通する接頭辞のmon-はもともと、men-から来ていて、think(考える)という意味。men-という接頭語は他にも、monitor(監視する)、admonish(忠告する)、summon(出頭させる=思い出させる)、mind(心掛ける)、reminisce(追憶する)などの単語を作り出す。「考える」が原義だが、「警告する、忠告する」という意味合いが強い。
「警告する、忠告する」という意味合いから、不吉な物、異常な物としてのmonster(モンスター、怪物)という単語が生まれた。表題のmonstrousも、常軌を逸していて不吉な物、不快な物というニュアンスになる。
凶悪犯罪はa monstrous crime(ェィ マンスチュラス クライム)と言えるし、a monstrous-looking creature (ェィ マンスチュラス・ルッキン クリーチャー) で恐ろしい見た目の生き物などとも言える。現代社会はmonstrous crimesだらけで、けしからんこと(It’s monstrous)ばかりなので、このmonstrousは利用価値が高い。
例えば、面接などで「~で起きた事件についてどう思うか」「~の不祥事についてどう思うか」などと時事問題についての意見を聞かれることがあると思うが、「~は全くけしからんと思いますね」と言いたいときにこのmonstrousを使って、It’s monstrous.と言える。これは普段から口癖にしておいてもいいくらい使えるだろう。だって、だいたいこの手の事件や不祥事については「けしからん!」と言いたくなるじゃないですか。
It’s monstrous that ~で、「~はけしからんですね」という意味になる。
Twitterを探ると、こんな実例が見つかった。
It’s monstrous that the government continues to appeal this decision. (政府がこの決定をアピールし続けるなんてけしからんことだ)
Brexit is a monstrous & stupid idea. (ブレグジットはけしからんバカげたアイデアだ)
なかなか使えそうな単語ではないでしょうか。
余談だが、このサイトでは、カタカナで無理やり英語の発音を書いているが、だまされたと思って一度口に出して発音してみてほしい。アクセントに気を付けて英語を口に出す習慣を付けることで、発音だけでなく、リスニング力も飛躍的に向上すること請け合いである。it’s monstrous thatは「ツマンスチュラスダッ」とマンに思いっきりアクセントを置いて発音してほしい。この 「ツマンスチュラスダッ」 を何度も繰り返して練習すると、it’s monstrous thatの発音の神髄に近づける。 「ツマンスチュラスダッ」 で一つの単語のように一息で発音するのがポイントだ。