【語源100話(76)】必要なものを律儀に測るしっかり者のmodule(モジュール)

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module(モジュール)は語源の中でもとりわけ仲間が”広がる”単語である。接頭辞のmodは「測定、規格、しっかり測ること」を表す。modが入った単語は、そういわれてみれば、しっかり決められた形になっているもの・ことについての単語が多い。model(モデル)は基準や手本となるものだし、accomodate(収容する、必要なものを揃える)はしっかりニーズを測って把握しておく必要がある。moderate(節度のある、中くらいの)も、しっかり測ってその範囲内に収まっているイメージ。人に使われれば「節度のある」になるし、物に使われれば「中くらいの」という意味になる。

病気やけがの人の具合を測って適切な処置を行うことは、medicine(医療、薬)である。お互いに値踏みした結果、交渉が成立し、取引されるものはcommodity(商品)。must(しなければならない)も元はこのmodから派生したという説もあるらしい。「しっかり測る必要がある」という意味が「しなければならない」という意味に広がったという説だ。

冒頭のmoduleの語義もこれでしっくりくるだろう。moduleは基本単位、基準となる寸法、などの意味で、モジュールと片仮名でもよく使われる。プログラミングや日常生活(特に建築分野)でも目にすることが多い。いずれにしても、モジュールはプログラムや規格化された材料の最小単位であり、複数のモジュールを組み合わせて、より大きく、より複雑なものを作り出す。

現代社会はAIや3D技術などが急速に進んでいる。そのスピード感を生み出している秘訣は、それぞれの研究者や技術者がモジュール単位で開発を進め、それをオープンソースとして共有していることが大きい。モジュール化は車輪の再発明(reinventing the wheel)を避けるのにも欠かせない概念である。

ちなみに、アルファベッドの「m」は26文字のうち13文字目と中間にあるので、「中間」「中くらい」の意味を示す単語に使われていることが多いそうだ。moduleはもとより、middleとかmediaとか、たしかに中間を示す単語が多いような気がする。また改めて検証してみたい。

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