【語源100話(67)】mirが取りなす幻影

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mirror(鏡)は、俗ラテン語のmirare(見る)、mirari(見て驚く)に由来する。自分を見るためのものだからmirrorということになる。mir-(ミル)という接頭辞が日本語の「見る」という意味を持っているのは、偶然にしても面白い。

mir-と聞いて思い浮かぶほかの単語は、mirage(ミラージュ、蜃気楼)。これもmirare(見る)やmirari(見て驚く)が転嫁したとされる。蜃気楼も大気に反射して見えるものだからであろうか。

miracle(奇跡)も同じようにmir-がつく。より古くは古印欧語のsmei-(笑う)に由来するという説もある。神の力によって人々を笑顔にしたり、驚かせたりする現象がmiracleというわけである。

蜃気楼も、人々を驚かせ、笑顔にするという意味で、mir-やsmei-に由来するmirageと呼ばれたと考えるとしっくりくる。

いうまでもなく、smile(笑う)はsmei-に由来する。

admire(尊敬する、アドマイア)はad+mirari(驚きを加える)。つまり、ある人物を驚きをもって見る=尊敬する、という意味になる。名詞形はadmiration(尊敬,アドマレイション)。これは「憧れの的」という意味で使えるので覚えておくと便利。例えば、~ is the admiration of usで、「~は私たちの憧れの的です」と言える。

mirに「見る」とか「驚き」の意味があることを知っていれば、admireやadmirationまで無理なく覚えられるだろう。

ついでにもう一つ覚えておこう。smei-に関係する言葉にsmirk(スマーク)がある。これはsmileの古い形で、現代では「にやにや笑う」という意味で使われる。he was smirking (彼はにやにや笑っていた)。ちょっとしたニュアンスを表現したいときに使える。

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