【語源100話(69)】聖母(マドンナ)たちのlullabyとlull A into B
「聖母(マドンナ)たちのララバイ」とはまた古い曲で申し訳ないですが、火曜サスペンス劇場のエンディング曲として思い出深い方も少なくないだろう。この曲のおかけでララバイという言葉は子供の頃から聞いたことはあったものの、英単語としてスペルを知るのは大人になってからだった。
lullabyの語源の根幹はlullの部分。lulululu…とハミングして赤ちゃんを寝かせることに由来する。lulululuとは連続で言えるが、rurururuは言いにくい。lとrで迷ったらそう覚えておくといい。lullabyにrは一つも出てこない!
byはstand by meのように近くで寄り添うイメージがある。だからlullabyは赤ちゃんの近くでハミングをするという意味だと思っていたが、lullabyのbyはただリズムを付けるために使われたという説が有力で、stand by meのbyとは違うらしい。
lullは英検一級の頻出単語でもある。特にlull A into B (AをBにさせる)という意味合いでニュースなどによく使われる。実際の例を見てみよう。
航空業界の実情を追ったCNBCアフリカの記事から。https://www.cnbcafrica.com/2022/why-air-travel-is-so-hard-in-the-u-s-cnbc-marathon/amp/
Despite the risks, the industry has experienced some periods of consistent growth, which can lull investors into a false sense of security.
「そうしたリスクに関わらず、航空業界はある期間一貫した成長を経験している。そしてそれが投資家に誤った安心感を与えうるのである」
投資家たちに子守唄をハミングしているマドンナ(航空業界)の姿が浮かび上がってきますね。本来うるさい投資家たちの目はトローンとして今にも寝てしまいそうだ。a false sense of security(誤った安心感)なのに…。lull A into Bには、Aをうまいこと丸め込んでBにする、というニュアンスがある。赤ちゃんを子守唄で寝かせるイメージを覚えておけば、忘れることはなく、使い勝手も良い熟語になるはずだ。
語源を知ることで、英文を見た時に生き生きとしたイメージが描かれる。lull A into Bは、まさにその見本みたいなものですね。