【語源100話(75)】徹底的に打ちのめしてレイムダックを作り出すlambaste

Pocket

lambaste(ランベイスト)は「非難する」「こき下ろす」という意味。

lam+basteに分解できるが、lamもbasteもどちらも「打つ」という意味がある。打つという意味の言葉を重ねることで、徹底的に批判するという意味が生じる。

lamはlame(レイム)と同語源。lameはlame duck(レイム・ダック、役に立たないもの、死に体)として有名だろう。形容詞としては「足が不自由な」「十分でない」、動詞としての意味は「足を不自由にさせる」「だめにする」。あまり良い言葉ではないが、足を不自由にさせるくらい激しく打ち付ける、というイメージがある。

一方、basteの語源をさかのぼると、古印欧語のbhau-(to strike)に行き着く。beat(打つ)も同じ仲間。button(ボタン)も同じくbhau-(to strike)を語源とするのが面白い。服のボタンはボタン穴を生地に打ち通したものだし、スイッチのボタンは押す(勢いよく叩く)ことで作動するものだ。basteは単体でも「激しく打ち付ける」「激しく非難する」の意味がある。

つまり、lambasteは、足を不自由にさせるほど打ちのめす+激しく打ちのめす、といずれも同じような意味を重ね、これでもか、これでもか!と非難を重ねる非常に強い言葉といえる。

New York Timesの2022年9月18日付のオピニオンに、lambasteが出ていた。

The same Republicans who lambaste government for being too conventionally minded and slow-moving weaponize failed grants and odd gambles as wastes of taxpayer money, creating the incentives for the precise bureaucratic caution they then condemn.

Republicans who lambaste government for being too conventionally minded and slow-movingは、「あまりに動きが遅く、保守的すぎるとして政府をこき下ろしている共和党員」という意味となる。文全体では「政府の無駄遣いなどを批判する政治家こそが政府を事なかれ主義に陥れている」という趣旨の意味だが、最後の分詞構文の部分の creating the incentives for the precise bureaucratic caution they then condemn((彼らによる政府の批判こそが)彼らが批判している官僚の事なかれ主義を助長したのである)という部分はどこの国にも共通する現象であり、覚えておくと英作文などに使えるかもしれない。

「体を不自由にするくらい強く打ちのめす」というlambasteの語源を知っていれば、このコラムにこめられた野党政治家による悪手の政府批判へのいら立ちが伝わってくるだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です