【語源100話(68)】Janitorとヤヌスの関係

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janitor(ジャニター)を辞書で引くと、管理人、門番、清掃員などと出てくる。学校英語ではあまり習わない単語かもしれない。普通の清掃員(cleaner、クリーナー)との違いは明確だ。janitorにとって、清掃はあくまで仕事の一つであって、他にもさまざまな管理業務も背負っている。まさにビルの管理人や学校の用務員さんがjanitorとなる。

語源は、ローマ神話の門(ゲート)の守護神「Janus」(ヤヌス、ヤーヌス)。やだ、カッコいい。と思わず言いたくなる語源である。ヤヌスは扉や門の神だが、扉や門は「入口」であり「出口」でもある。つまり、文字通り表裏一体の関係。双面神であるヤヌスの二つの顔がそれを表している。「ヤヌスの鏡」というテレビドラマもありましたね。

表裏一体の関係はこの世に数多く、物事の真理でもある。例えば…。光であり闇でもある。昼であり夜でもある。生であり死でもある。過去であり未来でもある。安全であり危険でもある。無限大であり無限小でもある。宇宙と素粒子の関係などはまさにそうですね。ヤヌスはそうした表裏一体の真理を全て受け入れる。

用務員さんの単語から思いのほかスケールの大きな話になった。これが語源の面白さでもある。

ちなみに、一月を意味するJanuaryは「Janusの月」が由来。門の守護神であるヤヌスは、一年の入り口も司っているわけである。

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