【語源100話(55)】inoculate(予防接種する、植え付ける)とVRの関係

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inoculate(イキュレイト)は、「予防接種をする」という意味。新型コロナ関連のニュースで頻出している。その場合、vaccinateと同じ意味で使われる。

例えばロイターの記事。Cuba is speeding up its COVID-19 vaccination program as it aims to fully inoculate 90% of its population against the coronavirus by December, an ambitious goal that has yet to be reached by even wealthier nations.

キューバは12月までに人口の90%にinoculateするためvaccination programを加速させているというニュース。90%のフル接種は先進国でも実現していない目標だとしている。

こちらはニューヨークタイムズの記事。Papua New Guinea will inoculate only a third of its adult population by 2026 based on its current rate, the study predicts.

パプアニューギニアは、このままいくと2026年になっても成人人口の三分の一しかinoculateできないという調査結果があるという。

こうしたニュースを流し読みするだけでも、日本のマスコミでは報道されていない他国の状況がよくわかる。英語を学ぶことの意義を改めて感じる。それはともかく、inoculateの原義は「植え付ける」で、「思想を植え付ける」ようなときにも使うことができるのがvaccinateとの違いの一つ。

inoculateの語源は、in + oculus(芽、つぼみ)である。文字通り「植え付ける」というイメージがあり、覚えやすい。植え付けるというより、「挿し枝をする」というほうがしっくりくるかもしれない。

さらに、oculusの語源はもともと目。植物の芽も目のように見えたからなのだろうか。okw-にto seeという意味がある。oculus(キュラス)という言葉に聞き覚えがある人がいるかもしれない。そう、oculusはFacebook傘下のVR開発会社の名前であり、VR機器のブランドでもある。

VRはまさに視覚に関する技術なので、創業時にoculusという社名をつけたことは容易に想像できる。inoculus(接種する)という言葉がVRのoculusと繋がった。こうして英単語を覚えていくと、なにより面白いし、ボキャブリーが効率よく増えていくと思う。

ちなみに、「思想を植え付ける」という意味ではwithやagainstを用いて、He inoculated me with that silly idea.(彼は私にそんな馬鹿げた考えを植え付けた)みたいな感じで使える。「親ガチャ」などを語るときに使えるかもしれない。

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