【語源100話(36)】袋小路とキュロットの関係(cul-de-sac)

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cul-de-sac、culdesac(ルデサック、クルドサック)は、袋小路、行き止まり、議論の行き詰まり、という意味。フランス語で、「袋(sac)の底(cul)」が由来である。

日本にも行き止まりになっている分譲地があるが、それもcul-de-sacの一種。cul-de-sacには大通りから離れた閑静な私道のようなイメージがあるため、cul-de-sacに面した住宅は不動産価値が高いようだ。cul-de-sacは交通量がほとんどないため、子どもたちの絶好の遊び場になるのも洋の東西を問わず共通している。

cul-de-sacのcul(底、後ろ、お尻)は、もともとラテン語のculus(後ろ)から来ている。cul(お尻)を幼児語でcucuと言ったのがtutuへと変化し、バレエ衣装の「チュチュ」となった。culotte(キュロット)も同じcul(お尻)が語源で、「お尻にぴったり合った半ズボン」というのがもともとの意味である。

一方、sacは英語でsack(袋)だが、語源はラテン語のsaccus、ギリシア語のsakkosから来ているという。袋は人類にとって文明の初期段階から欠かせない発明品だったから、言葉の語源もかなり古くまでさかのぼる。特に旧約聖書の中で穀物(トウモロコシ)を入れた袋(sack)として登場したことで広く世界中に伝わったようだ。

ちなみに、sackは麻袋のような硬めの袋のイメージで、農家がこの中に藁を詰めてベッドにしていた。アルプスの少女ハイジのベッドが分かりやすい。ハイジが寝る前にこの麻袋をたたいて”ベッドメイキング”しているシーンを覚えている方もいるかもしれない。hit the sack(麻袋をたたく)は、go to bed(寝る)と同じ意味のスラングとなる。また、「この袋(sack)をやるから、早くお前の机の荷物を片付けてその中に入れろ」という意味合いから、get the sackで「解雇される」「クビになる」というスラングになる。

余談だが、Idaho(アイダホ)州の地方紙「Lewiston Tribune(ルイストン・トリビューン)」紙の記事で「Culdesac woman hospitalized after being hit by car in downtown Lewiston」とあった。a Culdesac woman?、行き詰まった女性?などと頭をひねったが、アイダホ州にカルデサックという町があるようだ。a woman who lives in Culdesacという意味ですね。

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