【語源100話(46)】categoricallyがなぜ「無条件に」になるのか

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categorically(キャテリカリー)がなぜ「きっぱりと」「断言的に」「絶対的に」「無条件に」という意味になるのか長年、しっくりこなかった。categoryはカテゴリー(範疇、分野)として日本語になっている。

categoryは、もともと「公衆の面前で訴える」「告訴する」などの意味を含む。カテゴリー、カテゴライズは、例外を作らず区別をはっきりすること。つまり、多くの人の前で白黒はっきりつける、ということ。そう覚えたら、categorically→はっきりと、断言的に、無条件に、という意味がようやくしっくり来た。みんなの前で高らかと「これは白だ」って宣言されたら、それはもう無条件に「白」ってことになるわけだ。

categoryは分解すると、cata (向かって、逆らって)+egory(人が集まる、アゴラ(広場))。つまり上記の「公衆の面前で訴える」「告訴する」という意味が出てくる。agora(アゴラ)は古代ギリシアの都市国家にあった公共広場で、政治や司法が行われた。

カテゴリーという言葉の中に古代ギリシアのアゴラ(広場)が潜んでいるのは面白い。

ちなみに、categorical imperativeはカントの有名な定義で、至上命令、絶対的な命令のこと。「〜ならば」という条件を認めない命令で、it is a categorical imperative for me to 〜(〜することは私にとって無条件でやらなければならないことだ)などと、おどけて使われることもあるようだ。背伸びして一度使ってみたい表現である。

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