【一読で覚える英単語(2)】ado
「ado」という単語は、一見シンプルだが、なかなか面白い歴史を持つ。現代英語では、「無駄な騒ぎ」「大げさな手間」という意味で使われ、「without further ado(これ以上の手間をかけずに、前置きはさておき)」という決まり文句でよく登場する。
この単語の起源は、中世英語の “at do”(=to do, 何かをすること)にさかのぼる。昔の人々は「~することが多い」「あれこれやることがある」と言うときに「at do」と表現し、それが縮まって「ado」になったのだ。つまり、もともとは「することがいっぱい=大騒ぎ」というニュアンスだったわけだ。
覚え方としては、「あー、どうしよう!(Ado!)」と慌てふためいている様子を想像するといい。「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ!」と無駄にバタバタしている姿を思い浮かべると、「ado=大騒ぎ、面倒な手間」という意味がスッと頭に入る。
シェイクスピアの戯曲 Much Ado About Nothing(『から騒ぎ』)も、この単語のよい例だ。「何でもないこと(nothing)についての大騒ぎ(ado)」という意味で、まさに些細なことを大げさに騒ぐ様子を表している。現代でも、「All this ado over nothing.(こんなに大騒ぎしてるけど、大したことないじゃん)」のように使える。
とはいえ、日常会話では「without further ado」の形で使われることがほとんどだ。「Without further ado, let’s begin!(では、前置きはこのくらいにして始めよう!)」のように、スムーズに話を進めるときに便利な表現なので、ぜひ覚えておきたい。