English Memorandum

ある町工場の話

ある町工場の社長が何年間も市に多額の寄付をしてきた。
その額は毎年数千万円単位だった。
実は社長個人ではなく、書類上は法人寄付となっている。
会社は国から表彰され、社長が褒状を受け取った。
社長の笑顔とは対照的に、従業員のテンションは低かった。
「まあ社長が勝手にやってることなんで」だって…。なるほど。

おそらく節税対策なんだろうけど、町工場の利益を寄付しているわけで、従業員からすれば余剰金は賞与として再配分するか、将来の賃上げの原資、最悪でも内部留保してもらったほうがいいと思うのは当然だろう。
世間にいい格好したければ社長個人の給料から寄付すればいいじゃないか。と、従業員の一部は憤っている。

翌朝の新聞には満面の笑顔を湛えた社長の写真が載ってるわけで、それを見てさらにシラケル従業員の姿が容易に想像できる。

そういえば昔「従業員の生殺与奪の権は俺にある」みたいなことを書いた社長がネットで炎上した。生殺与奪の権は英語で” the power of life and death”。”life and death”と”life or death”のどっちがいいか。Google検索は”the power of life and death”が1620万件hit、”the power of life or death”が207万hitと圧倒的にandが多い。”The power of life and death”というノンフィクション小説もあるようなので、”the power of life and death”のほうがよさそう。よく考えたら、orでは生か殺のどちらかの権利しかないみたいだ。「〜に対する」はover。「従業員の生殺与奪の権は俺にある」は” I have the power of life and death over my employees.”か。まったく嫌なセリフである…。

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