一昔前、香山リカさんの「貧乏くじ世代」がどーたらかんたらという本が売れた。1970年代生まれが貧乏くじ世代。言うまでもなく、社会に出る前にバブルが崩壊したり、就職氷河期だったことが由来。まあ言われなくてもみんなが思い知っていることだ。
ちなみに、貧乏くじは英語で、”the short end of the stick” 、”the short straw”というそうだ。棒であれ藁であれ短いくじ棒を引いたらハズレということ。「引く」はdraw。「貧乏くじを引く」は”draw the short end of the stick”や”draw the short straw”。”draw the shortest end of the stick”や “draw the shortest straw”と強調した言い方も可能。※参考のため4パターンのGoogle検索数を一番下に付記した。
この本、なかなか面白かった。特にimpressiveだったのは、
(1)団塊ジュニアは団塊世代の再来(コピー)ではない。なぜなら団塊世代は20代前半には結婚して家庭を持ち、一人前の社会人になっていた人が多かった。一方、ジュニア世代は晩婚化し「30代の子供」(10年くらい前の本なので今は40代)が多い(余計なお世話である)。
(2)団塊ジュニアは直接会ったり電話して話す直接コミュニケーションと、携帯やネットを使った間接コミュニケーションの両方を体験している。その進歩の過程も経験している。
(確かに最近の10代には好きな子の家に電話してオヤジが出て緊張する、という体験はないだろうな)。
だから会社では「パソコンに詳しい若者」と重宝がられながらも、ネット上の間接コミュニケーションにはいまだに違和感を持っている。下の世代の間接コミュニケーション重視は違うと思っている。
(3)ナンバーワンよりオンリーワンを目指したがる。だからSMAPの歌が売れた。かつて団塊世代は競って会社のナンバーワンを目指した。一方、ジュニア世代はナンバーワンにはシラケ気味で、その代わりオンリーワン待遇を求める。会社から「この仕事は君にしかできない」というセリフを待っている。でも実際には、君にしかできないオンリーワンの仕事などあるワケないので、天職を求めて転職する。
で、香山リカさんの結論。
「貧乏くじ世代だと卑下せず、人生前向きに生きなさい!」
英語でいうと、Count your blessings!(不幸を嘆くのではなく、恵まれた点を数えろ)といったところか。
とはいうものの、この本が書かれたころから、日本の置かれた状況(the situation that Japan is in)はさらに悪化しているような。
<MEMO>”draw the short end of the stick”は70,200件、”draw the short straw”は183,000件、”draw the shortest end of the stick”は194件、”draw the shortest straw”は6,010件。”draw the short straw”がよさそう。