今回は「担当者」について調べてみた。というのも、英語話者を案内する中で、「この部署のパートナーはクライアントの広報担当者です。」と言う必要があったからだ。ビジネスや日常生活でよく使われるこの「担当者」という言葉。日本語では便利なので簡単に使いがちだが、英語では工夫が求められる。まず、最もシンプルでわかりやすい表現として「person in charge」がある。これは「責任者」や「担当している人」という意味で、中学校レベルでも習う基本的な英語表現だ。英語では、「A person responsible for a particular task or duty」と説明でき、これは日本語で「特定のタスクや業務に責任を持つ人」という意味になる。
この「person in charge」は、ビジネスシーンはもちろん、日常のあらゆる場面で使える万能な表現。例えば、誰かに「このプロジェクトの担当者は誰ですか?」と尋ねたい場合、”Who is the person in charge of this project?” と使うことができる。さらに、ビジネスシーンで少しフォーマルな表現を求めるなら「responsible person」「representative」もよく使われる。「担当者」に相当し、意味はほぼ同じだが、やや硬い印象。特に書面や公式な会話で用いられることが多い。「responsible person」は「The individual who is responsible for a specific duty or role」という定義で、日本語では「特定の職務や役割に責任を持つ人」と訳すことができる。「このプロジェクトの詳細は担当者に問い合わせてください」と言いたい場合には、”Please contact the responsible person for further details.” とすればよい。
次に、「担当者」に関連する類義語もいくつか挙げてみよう。まず「coordinator」という言葉がある。これは、特定のタスクやプロジェクトの調整役を意味し、「担当者」というよりは「調整役」といったニュアンスが強い。イベントや大規模なプロジェクトの管理をする場合に自然に使える語だ。例えば、「イベントの調整役がすべての物流を担当しています」という場合、”The event coordinator will be in charge of all logistics.” と表現することができる。もう一つは「manager」である。これは「マネージャー」として馴染みのある言葉で、通常、複数のタスクや部門を統括する役割を持つ人を指す。「担当者」に比べて、より広い範囲の責任を持つことが多く、特にプロジェクトが大きくなると「manager」が使われる頻度が増える。「プロジェクト全体を監督するのはプロジェクトマネージャーです」と言いたい場合は、”The project manager is responsible for overseeing the entire team.” という形になる。
単語の包摂関係で整理すると、まず「担当者」に該当する最も広い意味の上位語は「person in charge」や「responsible person」「representative」だろう。実際はさらにその下位語としての「manager」や「coordinator」といった具体的な役割名で表現するのが好ましい。
では、冒頭の「広報担当者」をどのように表現するか。最も一般的でシンプルな表現は「PR person」だろう。「PR」は「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略で、これを使えば「広報」という役割がすぐに伝わる。つまり、「この部署のパートナーはクライアントの広報担当者です。」は”The partner for this department is the client’s PR person.”とか”This department works with the client’s PR person.”と言える。ここまで読んで思い至るかもしれないが、日本語の「担当者」がいかに抽象的で便利な言葉かを再認識する。日頃からそもそも担当者という日本語をなるべく使わず、「何の担当者か」まで考えて具体的な言葉遣いを心掛けると、実は英語学習も何倍も効率がよくなるし、曖昧さが排除され、ビジネス上もより分かりやすく、伝わりやすい日本語になるというメリットがある。