English Memorandum

【語源100話(54)】Oblivious narcissist(無自覚型のナルシシスト)とは?

ネットを見ていて、Oblivious narcissist (無自覚型のナルシシスト)という言葉が目を引いた。精神科医の片田珠美さんの記事にあった。

英語マニアは記事の内容より、単語に関心がいってしまう。obliviousは「無自覚の」という意味だが、obviousと混乱することがある。obviousは「明白な」という意味だから、まるで正反対だ。英文を斜め読みするときに、こんなところで引っかかっていられない。ということで、語源から記憶の定着を図ろう。

まずobviousは、obが「〜の前に」を表す接頭辞、viousの部分は「行く」という意味のweghに由来する。way(道)の親せきで、原義は「in the way」。つまり人々が行き交う道の上にあることを指す。そんなところにあれば誰の目にも頻繁に触れることになるわけで、「明白な」「公然の」という意味になる。

一方、oblivious narcissist のobliviousは、ob+liviousに分けられ、後半部分の意味の違いで正反対の意味になることがわかる。liviousはざっくり言うと「なめらかにする」という意味だ。諸説あるが、記憶や自覚の引っかかりがない、なめらかな脳内状態のことをobliviousというようになったという説がある。

liという文字の並びは直線的で、なめらかで、いかにも滑りそうだ。このliが入った単語はほかに、slip(滑る)、slippery(つるつるした)、slime(スライム)などがあり、実はobliviousもこの仲間である。

そう思って改めてoblivious narcissistという単語を見ると、普通の人なら気にするようなことを悉くスルーできる、いかにも無自覚なナルシストの姿を生き生きと思い描くことができるだろう。

ちなみに以下はoblivious narcissistの特徴とのこと。なかなか面白いので、また機会を改めて詳しく書きたいと思う。出典はBeware the Oblivious Narcissist — AKA the bad guy who thinks he’s the good guy.より。

Characteristics of the oblivious narcissist:

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