English Memorandum

【語源100話(33)】column(列)とexcel(エクセル)の思わぬ繋がり

columnとrowは表計算ソフトやSQLなど大量のデータを管理・処理するときに出てくる。最初のころは行と列が分からなくなってしまうことがよくあるが、語源を押さえておくと覚えやすいかもしれない。

columnはラムと発音する(太字を強く発音する)。もともと15世紀からcolumnは建物の長い柱のことを指していた。パルテノン神殿のような縦に長く伸びるエンタシスの柱を想像するとイメージしやすい。表計算などでもまさに縦の列をcolumnと呼ぶゆえんである。

もっと遡ると、頭のcol-はもともとkel-という接辞語で「他より目立つ所」の意味。確かに、天を突く立派な柱はかなり目立ったはずだ。また、転じて「小高い所(hill)」という意味がある。col-を含む例として、colonel(カーネル)は他より優れた「大佐」、culminate(カオミネイ)は他より目立つ「最高潮に達する」という動詞などがある。

面白いのが、excel(エクル)という単語。他動詞で「~に勝る(~より目立って上に行く)」、自動詞で「抜きんでる(目立って優れる)」という意味だが、ex-とcelの組み合わせになっている。つまり、ex(超える)+cel(colの変化=目立つ所)で、「目立つ所を超える→目立つ集団の中でもさらに上を行く」が原義となる。表計算ソフトのcolumn(カラム)という単語と、著名な表計算ソフト「EXCEL(エクセル)」の名前が同じルーツを持つというのは面白い縁かもしれない。

ちなみに、ネイティブがexcelを表計算ソフトの名前(名詞)として発音するときは「クセル」と「」にアクセントが付く人と「エクル」と「」にアクセントが付く人がいる。アクセントには「名前動後(めいぜんどうご)」、つまり、名詞の場合は単語の前の部分にアクセントが来て、動詞の場合は後ろにアクセントが来ることが多いという基本があるが、この原則にのっとれば、表計算ソフトは「クセル」と発音するのが無難だろうか。

excellent, excellence, 比較級のexcelciorなども、このkel-、col-、cel-(他より目立つ所、丘)を越えるほど目立って秀でている、というのが原義となる。

まとめとしてcolumnに戻ると、columnの意味は「柱」だから、縦に長く伸びる「列」のこと。どっちが行でどっちが列か自体が紛らわしいという人は、「列」の右側の「りっとう」が縦に伸びた2本の柱のように見えるので、それで「列が縦」と覚えておくといいとよく言われる。

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