available(アヴェイラボォ)は日常生活やオフィスでもよく使われる単語。「彼は今、席を外しています」のHe isn’t available now.はもうThis is a pen.くらいによく教科書に出てくる例文だ。もう少し深いイメージを探ってみたい。単純に「彼は今、いません」とどう違うのだろうか。
availableの語源は、avail(利用する)+able(ことができる)。avail(アヴェイォ)は「利用する、役に立つ」という意味だが、語源は、ad(~へ)+vail(価値のあること、力があること)。availの原義は「人や物に対して、価値や力を差し出すこと」となる。
vail(ヴェイォ)をさらに分解すると、wal(力)という接頭辞になる。力、すなわちパワーを意味し、「権力」という意味にも通じていく。権力や力にあやかりたいのか、walという言葉は多くの人名に使われている。例えばDonald(ドナルド)。原始ケルト語で、Dubno-valos(世界の権力=世界を制する権力者)。名前の語源を考えると、ドナルド・ダックは世界的な権威を持つアヒルなのである。
Ronald(ロナルド)はrögn(神々の)+valdr(支配者)となり、これもまたすごい名前だ。
wal(力)が入っている単語はほかにも、valid(根拠のある、有効な)などが知られる。validという単語の中に「力」という意味が入っていると思うと、validという字面から力強い根拠があるイメージが伝わってくる。invalid(根拠のない、無効な)とセットで覚えておくと、invalidの頼りなさが引き立つ。
冒頭のHe isn’t available now.という例文に戻ろう。ただの「彼は今、席を外しています」というイメージではなくて、「彼は今、その力や価値をあなたに差し出せない状況にあります」という、立体的で奥深いイメージが分かるだろう。